事業報告

■平成26年度 児童養護施設退所者への支援について

タイガーマスク基金は、公募により、平成26年度に児童福祉施設を退所し、平成27年4月に大学進学した学生28名に、返済不要の前期支援金として5月に一人当たり6万円(総額168万円)を、後期支援金として11月に一人当たり6万円(総額156万円)を支給いたしました。(2名が中退検討中のため給付保留中。)

 

また、平成26年度4月に大学進学し、タイガーマスク基金が支援を届けた48名のうち43名が無事、2年生に進級できたことを確認いたしましたので、継続支援として一人当たり6万円(総額258万円)を届けております。これで、平成24年度からの支援した学生の数は延べ171名となります。皆さまのご協力に心から御礼申し上げます。

 

残念ながら、二年生に進級できなかった学生がおりますが、全国的に見ても、児童養護施設から大学進学した学生のうち、アルバイトと学業の両立が難しいことなどが原因で約3割が中退しており、大学生全体の中退率が1割程度であるのに比べて非常に高くなっています。高校を卒業すると公的支援が途絶え、生活の一切を自分で工面しなければならない厳しい現実を考慮し、タイガーマスク基金としては、中退した場合でも、初年度支援金12万円の返還は求めない方針です。ご支援いただきながら、進級の報告ができないことは残念ではありますが、頼れる家族がいない学生たちにとっては、学業を継続することも難しい現状であることを、ご理解くださいますようお願い申し上げます。

 

現代の日本は、国公立でも初年度だけでも80万円以上、私立は120万円を超す学費と、世界でも突出しているのに、返済を必要としない公的な給付型の奨学金制度は充実していません。国内総生産(GDP)比で見た高等教育への公的財政支出は、日本は先進国中最低水準です。諸外国では、奨学金を受ける学生は5割を超えるのに対し、日本は2割台。しかも、欧州では給付型奨学金が多いのに対し、日本は貸与型(=借金)がほとんどです。若年層は就職しても収入が低く、貸与型奨学金の返済が生活を圧迫している例も目立ちます。無利子の奨学金制度を獲得するには倍率が高く、保証人になってくれる家族がいない児童養護施設の子どもたちにとっては、利子付の奨学金を借りることも困難な状況であるということを、一人でも多くの方に知っていただきたいと思います。

 

もちろん、大学に進学することが全てではありませんが、 生まれる環境も地域も選べなかった、望んで施設に入ったわけではない、 入る施設も選べたわけではない子どもたちが、 望む職業に就くために、自分の人生を自身のチカラで切り拓こうと、初めて「主体的」に進学を選択しようとしているのですから、その「志」を、タイガーマスク基金は応援していきたいと思います。ひとつのNPOでできることは限られていますが、制度を変えるには、時間がかかるため、「今、民間としてできることを実行したい」、「可哀想だからではなく、必要だから支援する」そんな思いで日々活動しています。子どもたちは私たちの未来です。生まれや育ちに関わらず、全ての子どもたちが、目標を持って自分の道を歩んでいけるよう、それを周囲の大人たちが「当たり前」のように応援できる社会創りを皆さまとご一緒に目指したいと思います。ご支援に心より感謝申し上げ、引き続き、社会的養護が必要な子どもたちへのご理解をよろしくお願い申し上げます。

 

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