タイガーマスク基金 インタビュー

タイガーマスク基金 インタビュー#12
施設を退所した子どもたちと地域をつなぐ空間であれたらとカフェをスタート 

 

困っている子に1杯の飲み物を提供できる「エールチケット」

児童養護施設などを退所して仕事についても、うまくいかない場合が少なくありません。あまり稼げていない子もいます。そんな子ども・人たちのために作ったのが「エールチケット」。ここはもちろん、誰でも利用できるカフェですから、訪れた人で希望してくれた方に、自分のコーヒー代+誰かのための飲み物チケット「エールチケット」を買ってもらっています。もちろんお願いをしているわけではありません。がんばっている次世代のために何かをしてあげたい、と考えている大人と、うちを利用してくれる子どもを、1対1でつなげる取り組みがしたかったのです。エールチケットのストックがあれば、お金がなくても、退所児童などがここにふらっと立ち寄ってくれたら、無償でコーヒーや飲み物を提供できるんです。その来店をきっかけに、話を聞いたり、力になれるかもしれない。そんな可能性への願いも込めた「エールチケット」です。

 

美味しいドリンクを飲んだら、エールチケットを購入して、他の誰かに飲み物を!

 

カフェの運営は財政的にも厳しいですが、支援者がケータリングや貸し切りなどの利用をしてくれることも増えています。子どもが描いてくれたクツベラマン(運営の団体名がSHOEHORNのため)の「ラインスタンプ」も好評です。

 

 

地域の中にある空間として福祉の縁をつなぐ場所に

児童養護施設の関係者の支えになれたらと思って始めた場所ですが、そんな一方的に手をさしのべるだけの場所ではなく、弊店の新聞記事を見て来店した子どもがたまたま来店していたご高齢のお客様の話を聞いてあげていることもあったんですよ。このカフェが、地域のコミュニティの縁をつくる一助になれたらいいなと思っています。
 

最近では児童養護以外の子ども支援団体/機関さんともつながっていて、カフェの存在を応援してくれる方も増えています。行政が支援したり関わるところまでではないけれど、地域で気長に見守った方がいい子どももいますから。カフェにジュースを飲みに来てくれたら様子がわかる、地域の気づき役を果たすこともできます。

 

カフェなので、福祉施設でもなく、行政機関でもないから、子どもの個別の事情に合わせたサポートが実施できます。施設の職員さんほど濃密な関わりはできないけれども、少し距離のある第3者だからこそできることもある。既存の制度や取り組みの隙間を埋めることができるカフェ=空間であればと思っています。

ページトップへ